スポンサーリンク
四畳半と収納
冬に「四畳半生活なのにプロジェクタを買ってしまった」という記事を書いたことからも分かる通り、僕の暮らしている部屋は四畳半だ。四畳半で生活したことのない人でも少し想像力を働かせればわかることだが、この限られた空間に収納できるものは少ない。昨年の春に引っ越してきてからそのままになっている段ボールも3、4個押入れに眠っているし、机や床の上にも物が散乱している。
このように、四畳半生活を片付けができない言い訳にするのも良いのだが、これでは人を呼ぶどころか、物が一瞬で行方不明になったり、下に敷かれている物を取るのに上のものをどけなければならなかったりと実用上の問題も出てくる。あと、風水的にもよくないと思う。
幸いにも、この部屋には約1,5畳分の押入れがあるので、今回はこれを立体的に利用することで収納スペースを確保することにした。丁度押入れに入れている本棚代わりのカラーボックスの横が高さ80cm、幅80cm程度開いているので、このスペースに合うような本棚とCDラックを自作する。
↑ここに入れたい。
スポンサーリンク
材料と設計
今回使うのはワンバイフォー材と呼ばれる厚さ19mm、幅89mmの1インチ×4インチの木材で、ホームセンターに行けば節や反りはあれど規格化されたものがお安く売っている。今回は200円ちょっとで10枚購入したが、200円を下回ることもままあるらしい。
この材料は、自分に木工のスキルも経験も全くないので切断面がガタガタになるであろうことを予測して、できるだけ切らなくて良いものを選んだのだが、この選択が間違いだとこの時の僕は知る由もなかった。
ワンバイフォー材は奥行きが89mmしかない。およそ文庫本1冊分である。これではCDは納まらないので、2枚の板を接合することにする。用意したのが木工ボンドと木製の丸棒(8mm)だ。
縦の板は長いので、ドリルで穴を開けた部分に丸棒でダボを作って打ち込み、ボンドを塗って接合するという以前どこかのブログで見た手法をとり、横板は短いし面倒なので木工ボンドだけで接合することにした。収納物も軽いので充分保つだろう。
実は今は製作から1月ほど経っていて、設計図は既にどこかへ消えてしまっているので、寸法等はもはや自分でもわからなくなってしまったが、本棚、CD棚ともに幅400mm、高さ800mmで、本棚は4段、CD棚は5段の設計である。高さが丁度いい具合に割り切れなかったので、最下段は少し大きめにした。木の組み方としては、横板を縦板でサンドするような形で、横からビス止めする。実に簡単に思える。
いろいろな本棚製作記を読み、写真を見ていると、本の上に殆ど隙間が無くぎっしりと詰まっているような棚に「知の結晶」という印象を受け、かっこよさを感じたのでそれを目指した(のだが高さを合わせる都合上いくらかスペースができてしまった)。棚の背面はすぐに壁で、入れるものも軽いので背板は設けないことにした。
(地獄の)製作編
いよいよ製作にとりかかるわけだが、機械文明がそれなりに発達している現代では自分よりも道具に仕事をさせたほうがうまくいく。僕の父はホームセンターに行くとワクワクが止まらない男の子の代表のような人で、なんだか電動工具を買いたくなってしまう質らしく、道具には困らない。板同士をビス止めするためのインパクトドライバーは勿論、切断や接合のための固定もできる。
まずは切断だ。接合してから切るのとちょうどいい長さで切ってから貼り合わせるのとどちらがいいのかがわからなかったので、後者を選択した。間違いだった。
予め鉛筆でけがいていた線(適当な性格なのであまり信用出来ない)に合わせてどのご家庭にも1台はある、お馴染みのテーブルソーで切っていく。
こんな機械を使えばミスもないだろうと思ったら大間違いだ。不器用な人間を舐めている。
切断面は斜めになるだけでなく段差ができてしまったりしたので軽くヤスリで整えた。隕石落下直後の月面に勝るとも劣らない滑らかさである。
次に接合。ドリルで下穴を開け、丸棒を切って作ったダボを埋め込んだら、ボンドを塗って貼り合わせる。または、ボンドだけを塗って貼り合わせる。
こういったクランプ系の道具で挟んで圧をかけたまま放置することでくっつくらしい。前者のような台も兼ねているものは、ケガキ台にもなるし大活躍してくれる。
一応速乾タイプと書かれたボンドを使っているのだが、思いのほか遅乾タイプだったので、最低でも1時間弱は放置することにした。
実際の作業は、切ったものから接合することで、作業時間の短縮を図った。しかし、これも失敗であった。ただ、作業中には気づかないのでひたすらシコシコと塗っては挟み、塗っては挟みしてゆく。
今回は押入れに入れるということもあって、塗装も要らないので、この後は工程的にはビス止めして完成のはずだが、接合した板を並べてみると、あることに気づく。
長さが揃っていない上に左右の板がずれている!
長さが揃っていないのはテーブルソーでのカットの時に切りすぎたり、切り残しすぎたり、斜めになっていたりするのが原因であり、左右の板がずれているのは、接合時クランプを真っ直ぐに挟めていなかったり、ズレたまま固定されてしまったのが原因だろう。
これらの板はテーブルソーやヤスリで再び長さを調整した。しきれなかった。小さくなった。
問題が多発しながらも、いよいよ最終工程のビス留め。借りたインパクトドライバーをドリルとして使い、下穴を開けた後にドライバーに換装してビス(ネジ)で留める。たったこれだけの作業だ。
けがいた部分に下穴を開けたら、そこに横板を当て、恐る恐るドライバーを回すとスルスルと飲み込まれていく。気持ちいい。が、隙間ができてしまった。横板をしっかりと押し付けていなかったので、ビスの頭で横板が押される形になっていたのだ。
ビスの頭をしっかりと下穴に合わせてドライバーを回せば、ビスが横板に食い込み自ずと隙間もなくなるであろう。そう思い、ドライバーのトリガーにかけた指に力を込めると、メリメリと板にめり込んでいくビス。アカン…トルクが強すぎる…これでは貫通してしまう…。一度逆回転させ、ゼロから締め直すと無事に(ある程度)締まってくれた。
木にめり込んだビスの頭が傷を作っているようにも見えなくもないような気もするが、傷は男の勲章である。問題はない。そして押入れに入れれば見えない。
水平に修正しきれなかった木の板が隙間を作っているように見えたが、実用上問題がないので、これで完成とすることにした。
完成、そして
完成品はこんな感じになった。
下の写真左が本棚、右がCD棚である。実用上問題はなさそうだ。見栄えはよくない。
上の方が広がっているように見えるのはきっと目の錯覚とか遠近法とかそういった類の現象で、端の板が他より長いとか、その手前が長くて広がってるとかいうアレではない。たぶん。
手近にあった引っ越し荷物を入れた段ボールを開封して中身を突っ込んだ図がこれ。↓
それぞれ最下段は他より広くなっているので、CDの棚にも文庫本が入ったり、本棚では新書サイズを超えるものも入るようになっている。
CDは無理でも、本棚には文庫本を前後2冊並べることができるので、見た目の倍近い容量を確保できるが、押し入れ用なのでやはり小ささは否めない。
ちなみに、左に見える段ボールが引っ越しの荷物の入った段ボールその1である。
本棚の2段目に適当な物を詰めたので、サイズ感を掴んで頂きたい。
BDケースは入るが、DVDケースは入らない。少年漫画は入るが、青年漫画は入らない。ジョジョ17巻は2冊ある。北へ。
教訓
今回は木工経験0の不器用人間でも棚をD・I・Y!したい!というコンセプトであったが、ガタガタの切り口、合わない切断面、ずれる木材等、問題が多発してしまい、製作途中からああしていれば…というポイントがガンガン出てきていたので、みなさんの参考になるように3つにまとめてみる。
1,ワンバイフォー材を使うな。
もはや今回の企画が根底から覆る教訓だが、確かである。
ワンバイフォー材を使えば初心者でも切断面が少なくなって作りやすいだろうと思っていたが、実際はワンバイフォーという規格化されたサイズに作りたいもののサイズがうまくマッチせずに苦しむことになってしまう。幅のある物をつくろうとすれば貼り合わせたりといった手間もかかって、そこでどんどん精度が悪くなるので、初心者に易しくない。
貼り合わせる場合は、貼ってからちょうどいい長さに切るのが良いなど色々とノウハウは手に入ったが、こんなものを使わないのが一番だ。
素直に幅のある板を買おう。
2,木はお店で切ってもらおう。
いまどきのホームセンターでは、木材をカットしてくれるサービスがある。予め作りたいものを設計しておき、どのように板から必要な木材を切り出すかを考えておけば、お店の人に頼むだけで自分でやるよりも(たぶん)綺麗に切り出してくれるので、工具もスキルもなしで、お茶を飲んでいる間にちょうどいい木材が手に入る。今回のような棚ならあとはビスを打ち込むだけで完成する。
たいていは1カットいくらと料金が決まっているが、交渉をしたり、それなりの量をお願いしたり、常連だったりすれば無料になったりするものらしい。いずれにせよ、工具を買うよりは安く済むだろう。
3,木材はしっかり選ぼう。
今回はワンバイ材を使ったが、ワンバイ材の山に積まれた木材は質がバラバラで、節だらけのものや、傷が入っていたり欠けていたりするもの、反っているもの等が多くあった。もっと大きな板も同じだろう。
これらは見た目も手触りも精度もよくないので、自分で気に入るまで選んで買おう。
ちなみに、今回は2本ほど反っている木が紛れ込んでしまっていた。
今後
木工は初めてだったが、思ったより楽しく、安く(3000円未満)済んだし、ワンバイ材を使わず、お店の人に切ってもらってもっと良い物を作りたい。
ゲーム機を立体的に配置できるようなラックを作れたらという構想はあるものの、排熱が気になっている。
塗装や、見栄えにも気を配り、押入れの外に配置できるようにしたい。
塗装はワトコオイルなどという物を塗ったり拭いたりすればいい感じの色合いになるようなので、そのうち試してみたいと思う。
本棚を作ることには大きなメリットがある。部屋のスペースを立体的に使うことで、効率的な収納が可能になるし、見栄えもよくなり、精神的にも満たされる。また、本を並べている間に、ジョジョ17巻を2冊買ってしまっていることに気づくこともできる。
みなさんも是非ワンバイフォー材以外でDIYを楽しんで頂きたい。