好奇心は鯖をも殺す

神社 日記

由来不明の奇祭、ケベス祭で焼かれてきた。

大分には由来も起源もわからないままに続けられてきたという”奇祭”、「ケベス祭」というものがある。
映画「君の名は。」でも大火事で意味はわからなくなったけど、行動だけが残っているという神事が出てきたが、そういったものだろう。
毎年10月14日に行われるそれを今回初めて見に行くことにした。

岩倉社という神社のお祭りということだが、この岩倉社は大分県の北東側、国東半島という地域にある。国東半島は、福岡へ行く道からも外れ、電車も走っておらず、基本的にそこに用がある人しか行くことはない。仏教や神仏習合後の神道等の寺社や史跡が多く残っている事もあって独特の雰囲気がある地域だ。

当日、夕方6時前に神社に着くと、港の方に駐車するように促された。
100m程駐車場から歩き、神社に入ると、あちこちに提灯が下がっており、婦人会か何かの出店があった。しかし、詰めかけた人にはそれ自体を楽しんでいる様子は無かった。
dsc01822-2祭りの本番は7時からということだったが、境内ではこの時間から多くの人が開始時間を待っており、最前列では、早くから場所取りをしていたであろうカメラおじさん達が何度もストロボを焚いたりしながらカメラの設定を決めていた。
境内には元々祭りを見るように作られているのか、中央の社を囲むような屋根付きの高床通路(?)があったので、そこに立って待つことにした。

7時前になると、海で身を清めてきたという氏子さん達が帰ってきて、社で神事を始めた。
dsc01838-2外からでは何をしているのか全くわからないので、僕は2箇所あるポケストップを5分に1度フリックしながら待った。
周りの人の話によると、この祭りは仮面を着けた”ケベス”と呼ばれるものが火に突っ込もうとするのを”トウバ”という人達が止めるが、ついに9度目で侵入を許すという流れになっているらしい。ちなみにケベスもトウバも名前の意味はよくわからないとのこと。

40分程経った頃にようやく神事が終わり、仮面を着けたケベスが出てくる。
dsc01840-2えっ怖いんですけど。
辺りはこれから始まるというソワソワ感と、ケベスの面から漂う「これって邪悪な類のやつなんじゃ…」という雰囲気からざわめきを強める。

境内の隅ではいよいよ火が起こされる。
dsc01851-2シダの類や、榊かなにかの枝を火に焚べられる。
これを
dsc01863-2こうしてdsc01864-2こうじゃ。
5,6mはありそうな火柱に、上方にある木の枝が焼かれている。ケベスもこれじゃ突っ込むの怖すぎるでしょ。

太鼓に合わせて担いだ棒を叩きながら回っていたケベスが、それを構えて止まる。その向かい、火の前には同じように構えたトウバが一人。写真はないのですが、オタクの皆さんはFate stay/nightでランサーが槍を構えているイベント絵を想像していただければ問題ないです。それが2人いる。

槍を構えて疾走するケベスを受け止めるトウバ。
dsc01868-2ここからバチバチのバトルの後、ふんっ!と気合と共に押し戻される。
そして、太鼓に合わせて回った後再度突進。
dsc01889-2毎回変わるトウバに対して、それと戦うケベスは交代もできず、疲労の色が見てくる。観客からは「がんばれー!」の声が飛ぶ。

いよいよ9度目、突っ込んだケベスが棒で火を掻き回したと思うと、それまで火を守っていたトウバが、棒の先に火種を引っ掛けて観客へ火の粉を飛ばしてくる。行間が全く読めない。
dsc01898-2開始前の挨拶で言うには、火の粉を浴びると健康になるので、存分に浴びて帰ってくださいとのこと。
前に居たカメラおじさんたちが一斉に逃げ出したので、下に降り最前列へ出ると、いつの間にかトウバは元の場所に戻り、ケベスがまた回っている。
あれ?と思っていると、近くのおじさんが「さっきのはたぶん6回目で、あと3回ありますよ。」と言う。
dsc01901-2もう2回バトルを見た後、周りに張られていたロープが取り払われる。いよいよ本番なのだ。
突っ込んだ、ケベスが火をかき回すと、今度は全てのトウバが火を持って近づいてくる。
辺りは火の粉を振りまかれ、逃げ惑う人の悲鳴で包まれた。

dsc01941ふと、脚が熱いと思って目をやると、どこから来たのか火の玉が足下に転がっている。
慌てて飛び退くと、遠くでは投げられた火の玉が飛んで行くのが見え、また悲鳴が上がった。怖すぎる。

dsc01935-2
さっきまでいた通路にもトウバが人を追い回しながら火を撒き散らしていく。
トウバもノリノリで、通り過ぎたと思ったら急に反転して走って来たりする。それを観察しているとすぐ後ろにも火が迫っていたりするので慌てて背をかがめ、くぐり避ける。全く油断ならない祭りである。
頭には火の粉が降り注ぎまくり、どんどん健康になってしまう。慣れた人はパーカーで来ており、フードを被っていた(ただし、パーカーが燃え上がり、慌てて火を消している人もいた)。中にはヘルメットを被っている人も。

dsc01946-2トウバ達はここで火をしゃぶしゃぶして…
dsc01951-2こう!
dsc01947-2しゃぶしゃぶして…
dsc01937-2こう!
攻め手を緩めることはない。

テレビの取材も何社か来ていて、トウバの一人が「あのハッピ着た芸人にやったれ。」と言っているのが聞こえてきた。テレビ的なことを考えてくれるなんて優しい…と思ってそちらに目をやると…
dsc01938-2vlcsnap-2016-10-14-23h59m02s858vlcsnap-2016-10-14-23h58m49s922優し…い…?(※彼は法被が焼けるも無事でした。)

最後は残りの薪を全て焚べて燃やし、お開きに。

いやー最高に楽しかったです。
皆が非日常のテンションになって楽しめるお祭りで、終わってからも続く興奮。
来年の10月14日は土曜日なので是非行きましょう。
近く(20kmあるけどどうせ車移動になるのでセーフ)には日本一の夕日が見られるという真玉海岸もあり、デートにもオススメ。但し、燃えにくい服、もしくは燃えても良い服と体で行きましょう。

  • 面白かったです

    by 匿名 2016年10月25日 8:56 PM

    • ありがとうございます!
      是非来年は行ってみてください。

      by saba0274 2016年10月27日 9:05 PM

  • 燃えても良い体ってなんやねん(笑)

    by 匿名 2016年11月27日 4:05 AM

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