好奇心は鯖をも殺す

日記

善光寺の闇

前々回→長野旅行① 前回→長野旅行②

さて長野旅行も3日目。この日は午前中を長野で過ごし、新幹線で東京へ帰るスケジュール。
長野といえばやはり善光寺である。
駅前バスターミナルで善光寺行のバスを探してみたものの、よくわからなかったので荷物を長野駅に預けて徒歩で向かう。

ぱらぱらと開店し始めた仲見世通りを進み、仁王門をくぐると、変な味のソフトクリームを売っている店を発見。
自分は甘酒ソフト、友人はみそソフトを。みそソフトに比べて若干守りに入ったようで悔しい。
甘酒ソフトはふんわりと酒粕チックな味が口の中で広がる。特別おいしくはない。
せっかくなのでみそソフトも少し貰って食べてみたが、味噌だった。あまりに味噌なので、ソフトクリームなのに塩辛さすらあり、常食すれば間違いなく内臓をやられるであろう味がする。夫婦仲の冷えきった家庭で、塩をふたつまみくらい加えて夫に供される味噌汁のような趣である。
勢いでみそソフトを選ばなくてよかったと心から思った。

さて善光寺。
楼門の手前からもうちょっとした異空間である。
DSC01668-2
右手には六地蔵が現れた。のはいいけど皆さんなんか背負ってる。
チャクラムだ!滝夜叉丸先輩が使ってるやつだ!と盛り上がる24歳児と25歳児。
後で調べてみると、後光を表したものの一種で、頭の後ろにあるから頭光、円形だと円光というらしい。ちなみに「円光」で検索すると明らかに18禁結果しか出ない。実に徳が高い。

楼門を抜けていよいよ本殿の前へ。
巨大な香炉(?)に線香を入れて煙を浴びたりするアレがあったので、少し控えめに手で頭の方に扇いでいると、隣では友人が頭を突っ込む勢いでガッツリ入念に香を浴びていた。さながら巣鴨はとげぬき地蔵を訪れる老婆が如し。実際に言うと我が身に何が起こるかわからないので黙っていた。

本堂に入ると、照明のなく薄暗い伽藍の壁面から、100躯とも200躯とも知れない雲に乗った金色の仏達の群れが、例の円光をバックに僕らを俯瞰していた。なんという雰囲気か。闇を感じる。
しかし、本堂の見学には500円が必要ということでひとまず外を見て回ることにした。
本堂左側から見えたあの(下の写真のやつ)建物へ行くことに。

DSC01674-2三重塔の、あのてっぺんのスーパー避雷針みたいなやつからたぶんビームが発射されるぞ~というような小学生並みの会話をしながら、木々の間を伸びる通路を右に曲がる。
DSC01682-2現れる三重塔。
この塔の登場の仕方が非常に格好いい。自分も三重塔だったら、正面に来るまで全然見えない通路を配置して圧倒的プレッシャーを与えつつ正対して登場したいと思った。
ちなみにここに入るのにも500円が必要だ。
入口の楼門の見学にもまた500円が要るし、二人の間で独特の様式や雰囲気と相まって闇の商業主義寺院であるというコンセンサスが形成されつつあった。
わざわざ旅行に来たのにわずか数百円を惜しんだ僕らが境内の散歩を続行していると、友人の友人からツイッターで「お戒壇巡り」という真っ暗な本堂の床下を歩くことができるという真の善光寺の闇(物理)情報がもたらされた。
†闇†という小学生ワードで完全に脳がやられていた僕たちは、即決で500円を支払い今度こそ本堂へ。

正面で援交を背負った仏像を拝むと、右手に現れる床下への階段。ここからがお戒壇巡りだ。
入る前に右手を腰の高さで壁に触れながら進んでくださいとの案内がある。大人しく従って進んでいくと、薄暗い本堂に慣れた目でも、最初の曲がり角を過ぎると何も見えなくなる。少し先の方を歩いている集団が時々ウェイウェイ声を上げるのが聞こえるくらいだ。
すぐ前を歩いているはずの友人の気配もさっぱり感じられず、めっちゃ歩くの速いな!とペースを上げてぶつかったり、声を掛けてみたら20cmくらいしか離れていなかったりと完全に善光寺の闇に翻弄されてしまっていた。
最終的に、壁に当てていた右手を前に伸ばしたり壁に戻したりを繰り返すロボットのようになりながら進んでいく。左側の壁に誰か張り付いていても全く気づかないだろうし、ホラー展開もあるななどと考えていると、40mの旅が終わったらしく徐々に明るくなってきた。ははあこれが仏の救いの光かと思った。暗闇ツアーと思わせておいて、実態は仏の光体験ツアーだったようだ。なかなか楽しかった。
出口は入口のすぐ近くにあり、2周目行けるぞ!と指を指してみたがあえなく却下された。

その後、日光に当たりビタミンDを生成している亀やら、全くやる気のない仏像やらを見て、善光寺 The Darkness Temple を後にすることにした。
帰りの通りでは別の店がまた変なソフトクリームを売っていたので、甘酒ソフトで保身に走った後悔から野沢菜ソフトを選んだ。期待に反して野沢菜感は薄く、普通に食べられた。友人は、自分とはまた別の後悔からか、地元のリンゴであるシナノゴールドを使ったソフトクリームを食べていた。貰って食べたら普通に美味しくて、そんなんでいいのか!と思った。後から冷静に考えたら美味しい方が良いに決っている。

蕎麦を食べて新幹線に乗ると、高速バスの移動時間が嘘のようにあっという間に東京駅に着いた。
初回で出てきたアイカツ!うたバッジはここのアイカツスタイルで手に入れたものだ。
いつの間にか着いていた羽田空港の手荷物検査で友人と別れると、最高に楽しかった3連休が終わり、労働への助走が始まってしまった。

さて、次は奇祭つながり(?)でケベス祭りにでも行ってみようか。

←前の前 ←前

コメントを残す




関連記事