我が大分市にもサイクルロードレースがやってきた。
Jプロツアーのラスト2戦が、OITAサイクルフェスとして、出店やトークショー等を交えた複合的なサイクルイベントとして大分市で開催される事になったのだ。
11月1日(土)を前夜祭として、2日(日)、3日(月)にそれぞれサイクルロードレース、クリテリウム競技が行われるスケジュールだ。
初開催ながら、TVCMやポスター、パンフレットに弱虫ペダルを使っていて押さえるところは押さえているなという感じがする。自分は弱虫ペダルのことは分からないが、これ目当てで来る人も中には居るだろう。
サイクルロードレースを見るのは好きだが、せいぜいグランツールと呼ばれる世界3大大会と、あと少ししか見ないので詳しくないし、目の前で見たこともない。そういったこともあって、前日から大変にワクワクしていた結果、日曜のサイクルロードレース当日は11時起床という大寝坊をかましてしまった。
プロカテゴリーのレースが12時からだったので、慌てて準備して出かけると、開始前に到着することが出来た。財布は忘れた。
生で見るロードレースの迫力はなかなかのもので、沿道に立っている自分の目の前を選手が物凄い勢いで通り過ぎて行く時に、車輪の回る音やギアを変える音、選手の声が聞こえてくる。
サイクルロードレースファンが、一瞬しか見ることの出来ない選手たちを沿道で何時間も待つ理由も分かった気がする。
一周4kmという短いコースだったので、コース沿いを逆走しながらいろいろなポジションで観戦したが、上りの途中が気に入った。
上りでも上りとは思えないスピードで通り過ぎることに驚くし、辛そうにしながらも上っていく選手を応援できる。行ってしまうまでの時間も長い。
下の写真は平坦地点である。近い。
途中でプログラムを確認すると、大分駅前ではこのレースのパブリックビューイングが行われており、終了直後には新城幸也選手のトークショーが催されるということに気づき、ドームを後にした。
丁度会場に到着すると残り2周の所だった。本職実況者が居ない時に、実況もやらされてJスポに鍛えられている栗村修さんの生実況。横には大和田常務的な風貌の安田大サーカス団長もいて、面白かったり面白くなかったりする話をしていた。
それが終わるといよいよ新城幸也トークショー。
ピンクのかわいい自転車を持って登場する。
団長がやたら前輪にボトルが挟まった人を強調する(レース中に他の選手が投げたボトルが前輪に挟まって転倒した)団長だが、これがその自転車だという。
デカールを見るに、コルナゴのC60というバイクらしいが、非常に可愛いので欲しい。
トークショーは、まず新城選手が国内では自転車好き以外にはあまり知名度がないので、ヨーロッパカーというフランス1の人気を誇るチームに所属していて、フランスで一番有名な日本人だとか、野球で言うとヤンキースで投げている田中将大投手のような存在だとかそういった紹介から始まった。
自転車を始めたきっかけについても話があったが、18歳の頃に大学受験に失敗して、知り合いに呼ばれて渡ったフランスで自転車を初めて、6年後には世界のトップオブトップが集うツール・ド・フランスに出ているというのだから、根本的にモノが違うという印象だった。
他にも、3日走って1日オフの4日サイクルの練習で、オフの日でも60kmは走るだとか、グランツールのような長期間のレースでは、夕食は1kgで2000kカロリーを毎日だとか、30歳を超えたら一日リンゴしか食べない日を作って体内に貯まったいろいろな物を外に出すだとか、いろいろと超人的なエピソードを披露してくれた。
ただ、なにより印象に残ったのが、「自転車は乗れば乗るほど速くなる、強くなるんですよ!」と本気で力説していたり、質問コーナーで、「きつくなるともうだめだと思って止まってしまうのですが、どういったことを考えていますか。」という質問に「きつい時は皆一緒、そこで少し耐えられれば意外に抜け出せるもの」、「きついのは一瞬、終われば美味しいご飯も食べられる。」と答えていたり、今まで挫折したことはないと言っていたこと。なんという精神の強さか。
恵まれたフィジカルと毎日の努力に加えて、精神力の強さと、現実味のあるポジティブシンキング。これは敵いませんよ。成功する人には理由があるとは言うけれど、こんなにもこのおかげで成功してます!と見せられると、もうため息しか出ない。
テンプレ就活生並に貴重なお話ありがとうございます。という気持ちになってしまった。
ここ数年行われている駅周辺の再開発によって出現した広場には、大分名物から外国の料理まで様々な屋台が出ていて、親子連れもワイワイ楽しんでいるなかなか良い雰囲気が漂っていた。
残念ながら3日目は仕事で参加できなかったが、全体的に初めてとは思えないしっかりした運営で、取り組みの本気度が伺えたし、なによりとても楽しかったので、是非来年も開催して欲しいと願い、一助になればと、パンフレットを買って帰った。